―― 技や流派ではなく、“危険を避けられる身体と判断”こそ護身の本質
護身術というと、
関節技・打撃・投げ・歩法・武器術などが語られがちだ。
だが、現実世界において「最強の護身術」を定義するなら、
まず理解すべき事実がある。
最強の護身術とは、“そもそも危険に巻き込まれない能力”である。
そこには流派も技の種類も関係ない。
生身で生きている以上、
「ケガをしない」「死なない」「逃げ切れる」
これが護身のゴールだ。
そのために必要なのは、
格闘ではなく“身体構造 × 判断 × 状況察知”という総合的な能力。
ここから、護身術を本気で考える。
護身の核心は「接触しない」こと
―― 技よりも“距離と察知”が圧倒的に強い
現実における最強の護身は、
危険を事前に察知し、距離を取ること。
攻防が始まった時点で、
護身としては既に“失敗寸前”になっている。
護身の優先度は以下の順になる。
- 察知(空気・距離・視野)
- 回避(場所・時間・動線)
- 離脱(歩き・走り・遮蔽物)
- 抑止(姿勢・視線・構え)
- 対処(最小の力で崩す・離れる)
- 反撃(最後の手段)
護身術の9割は、
戦わない技術で成立している。
戦わないための身体こそ護身能力
―― 重心が安定し、視野が広く、反応が静かで速い身体
護身の場面では、
派手な技よりも、
・崩れにくい
・判断が冷静
・動き出しが速い
・視野が狭くならない
という身体のほうが圧倒的に強い。
つまり護身術とは、
筋力ではなく身体構造の問題になる。
例えば:
- 肩が上がっている → 視野が狭まり恐怖が増幅
- 重心が高い → 一発で倒れる
- 構造が歪む → 転びやすく逃げられない
- 呼吸が浅い → パニックになる
- 足裏の接地が弱い →押されて倒れる
だから、護身の本質は
“自滅しない身体”を作ることにある。
では、実際の護身では何を使うのか?
護身で必要な技は、武術の世界にある膨大な技術の中の
ほんの“数パターン”で成立する。
触れられた瞬間に“軸を残す”技術
押されても、掴まれても倒れない。
これは 重心と丹田の問題。
站椿功の軸がそのまま護身術になる。
距離を作る技術
手首を取られた、胸倉を掴まれた──
その瞬間に必要なのは脱出ではなく
“距離をゼロから作り直す”こと。
力で振りほどくのではなく、
身体構造でズラす。
一瞬の“作用”で体勢を崩す技術
本当に危険な場面では、
反撃ではなく 相手をわずかに崩して逃げる が最強。
- 腕を触って重さを落とす
- 肩に軽く触れて軸をずらす
- 手首に沿って重心を滑らせる
こうした“中心力の作用”は短時間で効果が出やすい。
まとめ
護身とは勝つ技術ではなく、
“無傷で家まで帰る技術”だ。
そのために必要なのは:
- 誰にも悟られない脱力
- 詰まらない重心
- 崩れない軸
- 自由に動ける身体
- 静かな精神
日々行っている鍛錬は、
すべてが“戦わない強さ=護身”へ向かっている。
武術の最強は、
“勝つ強さ”ではなく
“危険を避けて生き残る強さ”だ。

